Bill Callahan / Smog 私訳

Bill Callahan / Smog 私訳

Bill Callahanの歌詞の私訳です。まれにその他も訳すかもしれません。間違い等あればコメントください。

葬儀ではセクシーな服装を (Dress Sexy At My Funeral)

「葬儀ではセクシーな服装を (Dress Sexy At My Funeral)」

 

俺の葬儀ではセクシーな服装でいてくれ 良き妻よ

お前にとって初めてのこと

 

ブラウスをこの辺りまで はだけさせて

スカートはそこぐらいまでスリットを

 

ああ 俺の葬儀ではセクシーな服装でいてくれ 良き妻よ

お前にとって初めてのこと

 

牧師にはウインクを

嘆き悲しむやつらには投げキッスを

 

俺の葬儀ではセクシーな服装でいてくれ 良き妻よ

 

皆の前でスピーチをする番が回ってきたら

俺たちがヤッた時のことを話してくれ

真上に花火が打ち上がる浜辺でのことを

背中に砂利をつけて 線路の上でも

混み合ったバーのバックヤードでも

そしてまさにあの墓場だ

俺の身体が眠っているのは

 

ああ 俺の葬儀ではセクシーな服装でいてくれ 良き妻よ

お前にとって初めてのこと

 

俺がどれだけの寄付をしたかも話してやってくれ

そして仲間たちのことをこの上なく愛していたと

けれどもやはり忘れてはならない

浜辺でのこと

真上には花火が

 

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Smog時代『Dongs Of Sevotion』の二曲目。

原文は歌詞集『I Drive a Valence』から。

私にとって初めてお気に入りになったBill Callahanの曲です。そして誰にとってもそうなのではないでしょうか。それほどにキャッチーな名曲。しかもこんなに最高なジョークが歌われているならなおさら。

ちなみに、アルバム名の『Dongs Of Sevotion』は「Songs Of Devotion」の頭文字を入れ替えたものだそうです。「献身の歌」を入れ替えて「うんしんのけた」もしくは「歌身の献」みたいな感じでしょうか。ただ、Dongは米俗語として陰茎の意があるようです。一方、Sevotionは無意味な言葉のはずですが、ネイティブからしたらダジャレのように何かを連想させるのかもしれません。いずれにせよこのアルバムタイトルは、下ネタ言葉遊びということです。全曲訳せば、このタイトルがどんな意味を持っているのか、はたまた全くしょうもないだけなのか、判明しそうで楽しみです。そして早くも、この曲はそれを紐解いているかもしれません。「献身」と「陰茎」の歌といえば、ある種そうでしょう?

この曲を訳す上での葛藤をなにか書くとしたら、一人称についてです。私はできる限り一人称を「私」にしたいんですが、この曲では無理でした。「俺」以外に考えられますか?

それと最後に、訳出できなかった部分の補足ですが、”the gravel in your back”とあるので、当然かもしれませんが、背中に砂利をつけていたのは妻です。

羽根が一枚また一枚と (Feather By Feather)

「羽根が一枚また一枚と (Feather By Feather)」

 

君は朝の時間を半分費やし

ただ眠気を振り払う

夜の時間の半分は

ただ自分をリラックスさせ

これを繰り返すために生きている

私たちは

これを繰り返すために生きている

突然の大雨は 起こるたびに珍しく思う

 

カラスvs.カラス

激しい空中戦

くちばし同士がガチャガチャと

そこに理由はない

ただ空中の争いがあるだけ

 

もし君が翼を失っても

羽根が一枚 また一枚と

風に舞い散る

その軌跡を愛せ

 

君の人生を映画にするとしたら

スタントは本人に頼む他ないだろう

君自身にやってもらうしかない

だって他にいない いない いないのだから

君のような無茶をして

平気でいられる人間なんて

 

もし君が翼を失っても

羽根が一枚 また一枚と

風に舞い散る

その軌跡を愛せ

 

アリvs.クレイ

激しい殴り合い

チャンピオンは常に自分自身と闘っている

 

そう君はファイターだ

君はファイター

君はファイター

 

若手は根性があるんだ

若手には根性がある

若手には根性がある

 

もし君が翼を失っても

羽根が一枚 また一枚と

 

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Smog時代『Supper』の一曲目。

原文は『Supper』の歌詞カードから。

内容の暴力性に反して柔らかく軽やかな羽根というモチーフが印象的です。

“アリ”とはモハメド・アリ、“クレイ”とはアリの本名であるカシアス・マーセラス・クレイ・ジュニアからでしょう。

最後の“Kids got heart”という簡単そうな一行がかなり難しく、頭を抱えました。Urban Dictionaryによると“got heart”は「肉体的ダメージを恐れない精神を持っている」ことらしいです。では“Kids”とは何でしょう。子供?

Random Houseの英和大辞典に「若い未熟な運動選手. ♦︎特にボクシング選手の愛称となる」とありました。なるほど。つまり、あなたは未熟だが根性のあるファイターのひとりということなのでしょう。あと、“Feather”はフェザー級ともかかっている?